綾「出張ですか?」
涼「ああ、ざっと1週間」
綾「1週間もですか………」
今まで何度か出張はあったが、1週間というのは初めてだ。
そして出張してから3日後、早くも異変が現れた。
綾「はあ…………」
いちゃいちゃしたい。
口に出すと恥ずかしいので心の中で叫ぶ事にした。
あとこれが4日も続くの………。
愛する夫のいない生活がこんなにも辛いものとは。
綾「はやく帰ってこないかなあ……涼さん」
翌日。
綾の母「あらあら、大変ね」
愚痴をこぼす。
というよりも早く逢いたいという本音をぶちまけた。
正確に言うと旦那に対するらぶらぶな事ばっかり。
すでに綾の母はごちそうさまだった。
綾「あと3日もこの状態があると思うと、死にそうです…」
綾の母「…………」
完全に骨抜きになっている。
涼の奴隷というか従属というかフェチというか何というか。
私の娘はすっかり変わってしまった。
いい意味でも悪い意味でも。
まあ、旦那にくびったけな状態だからいいのだろう。
さらに翌日。
涼の部屋を掃除した。
元々綺麗になっているのでほうきでさっさとやれば終了だ。
ふと、ハンガーにかかっているワイシャツに気が付いた。
ワイシャツを取り、それをぎゅうっと抱く。
襟から匂いがする。
……涼さんの匂い…。
綾「あっ……」
我に帰った。
その瞬間、自分がとんでもない事をしでかしたと赤くなった。
綾「…………重症、なのかな…」
翌日の夜。
ベッドに入る。
横を向くと、誰もいない。
本来いるはずの人がいない(一時的にだが)。
枕をぎゅうっと抱き締める。
綾「…………」
帰ってきたら、思いきり抱き締めてもらおう。
そう思いつつ、目を閉じた。
そして、遂に涼の出張が終わる日が来た。
涼「あー、やっと終わった……」
1週間もの出張は精神的にかなりくる。
綾も寂しかっただろうに。
うんと甘やかせよう。
ごちそうさまって言えないくらい。
自宅に着き、玄関の戸を開けた。
涼「ただいまー……わっ!」
帰ってきた途端、綾からの抱擁だった。
これは予想しなかった。
……………よっぽど、寂しかったんだな。
ふわふわと、頭を撫でる。
涼「ただいま、綾」
綾「お帰りなさい、涼さん」
言葉では足りなかった。
挨拶を交わした直後、キスをした。
それは綾にとっても同じだった。
2日後。
涼「おはようございます」
澪「おはよう、如月君。出張の疲れは取れた?」
涼「ええ、バッチリ取れませんよ。主任」
澪「やっぱり1日だけじゃだめかしら」
涼「…………と言うより他の事で疲れましたから」
澪「あらあら、お盛んね」
涼「1日中抱きっぱなしの状態でしたから」
澪「………それ以上言うとセクハラで訴えるわよ」
涼「……………はい」