ポストに入っている朝刊の新聞を拾うと、チラシがひらりと落ちる。
チラシを拾い、どんな内容か見てみると、『猫カフェOPEN』と書かれていた。
…猫カフェ。
確か猫さんと一緒にいれる喫茶店だった気がする。
近所にもできたんだなあ……。
ふと、チラシの一番下に1時間100円のクーポン券が付いていた。
……行ってみようかな。
涼さんが仕事に出かけ、朝食を片付け、掃除を終える。
……よし、行こう。
チラシに書かれていた地図を頼りに探してみた。
猫カフェはビルの中にあるみたいだけど…。
…あっ、あった。
ビルの入口に『猫カフェOPEN』の貼り紙があった。
間違いなくここだ。
エレベーターで猫カフェのある階へ移動した。
エレベーターのドアを開けると、お店のドアが。
ドアを開けると…。
綾「まあ…」
ドアの向こう側にある部屋に猫さんがいる。
それもたくさん。
でも、たくさんいても猫さん一匹一匹に特徴がある。
先客と遊ぶ猫さんがいたり、鍋の中で丸くなっている猫さんがいたり、窓の外を眺めている猫さんもいる。
カウンターで手続きをして、部屋の中に入った。
何匹か私に気づいたらしく、ちょこちょこと近づいてきた。
ふふっ、かわいい。
好奇心が強い子達なのだろう。
近くのソファに座り、紅茶を注文した。
先程と同様に猫さん達がちょこちょこと寄ってきた。
今日が初日というのもあってか興味があるのだろう。
ふと、猫さん達の中にちょこんとちっちゃい子猫がいた。
産まれてまもない感じ。
綾「こんにちは」
私の声に反応したように子猫ちゃんがにゃんと鳴く。
礼儀正しい子猫ちゃんだ。
自分の横に猫じゃらしが入った筒を見つけ、猫じゃらしを1本取る。
子猫ちゃんの前で猫じゃらしを左右に振る。
猫じゃらしにすぐに反応したらしく、猫じゃらしの動きに合わせて左に向いたり右に向いたり。
やがて顔だけではなく、手も動いた。
左前足で猫じゃらしをぺしぺししてきた。
その動きがなんとも可愛い。
子猫ちゃんから猫じゃらしを遠ざけると、ちょこちょこと追いかける。
産まれたてのせいか、まだ歩き方がぎこちない。
けれど、それがすごく可愛く見える。
猫じゃらしに近づこうとタタッと走り出した。
猫じゃらしを動かして回避する。
子猫ちゃんは通り過ぎた後くるっとターンをして再び猫じゃらしめがけて走り出す。
闘牛士になったような気がする。
しばらく子猫ちゃんと遊び、紅茶を飲む。
……楽しい場所が増えた。
ふと紅茶を置いたテーブルにおやつ百円の貼り紙があった。
猫さん用の餌なのだろう。
すぐに注文をした。
店員からおやつの入った袋をもらう。
長い形状になっているのでちぎって与えてくださいという言葉を聞いた。
そのままだとあっという間に終わってしまうし、大きすぎると猫さん達のお腹の消化にも問題があるのだろう。
おやつをちぎって掌に乗せ、先程の子猫ちゃんの前に差し出す。
くんくんと匂いを嗅いでから、ぺろっとおやつを舐めるように食べた。
ざりっとした舌の感覚がちょっとくすぐったい。
再びおやつをちぎっていると、ぴょんと私の膝の上に乗ってきた。
私の太腿にぷにぷにとしたくすぐったい刺激がくる。
子猫ちゃんもこっちの方が食べやすいのかな。
おやつを全て食べ終えた子猫ちゃんは私の膝の上で丸くなって、眠ってしまった。
……そろそろ時間になるけど…どうしよう。
すやすやと眠っている子猫ちゃんの寝顔を見た。
……………よし、延長しよう。
かわいいって強いなあ…。
そういえば入る時に粗品の入った袋をもらった。
中身を確認すると、猫耳バンド。
自分も猫になれるという事だろうか。
…とりあえずつけてみよう。
すると、ちょこちょこと何匹か猫さんが寄ってくる。
仲間だと思ってるのかな?
それから、私はしばらくその猫さん達と遊んだ。
綾「…というところでした」
涼「へえ…」
夕食をもぐもぐと食べる涼さんに猫カフェに行った事を話した。
綾「涼さんも一緒に行きませんか?」
涼「ん?んー………」
…涼さん、行きたくないのかな?
綾「行きたくないんですか?」
涼「興味あるけどさ、それより…」
綾「それより?」
涼「猫耳、つけっぱなしなんだけど」
綾「えっ!?」
バッと頭を探る。
確かについている。
と、という事は………も、もしかして…。
あの後そのまま外に出て………。
そのまま買物をして…………。
えっ…ええええええっ!?
綾「い…いやーーっっ!!」