ふと、目が覚めた。
周りは暗い。
まだ深夜なのだろう。
次に自分に情報を送られてきたのは音だった。
雨。
深夜の雨。
隣に寝ている涼を見る。
異変を起こしていた。
涼「う…うう…」
うなされている。
どうやら夢を見ているようだ。
うなされているのを見るとどうもいい夢ではないらしい。
涼「うっ…うう…あ……や…っ…」
自分を呼んだ。
その一言で全てを理解した。
あの時の事だ。
私が、眠ってしまったあの時だ。
あの時を夢で見ているのだ。
この人にとって、絶望の日々。
……。
涼の顔をそっと持ち、自分の胸元に寄せる。
そしてゆっくりと頭を撫でる。
綾「大丈夫……」
優しく、囁く。
綾「私は…ずっと、あなたのそばにいますよ」
やがて、涼のうめきは静かになり、安らかな吐息へと変わった。
…この人は私がいないと壊れてしまう弱い存在。
…多分、いや、きっと。
だから、私があなたを護ってあげる。
雨はまだ降っている。
綾「止みませんね、雨…」
私はつぶやくように言った。