涼「さて、こんなもんかな」
部屋の片付けを終えて一息つく。
結婚式を終えてあとは同棲のみ。
時計を見た。
ぼちぼち潤子さんが来る頃か。
ピンポーン。
その時玄関のチャイムが鳴る。
涼「ん、来たかな?」
玄関のドアを開けると、予想通り潤子さんがいる。
涼「……えっと……おかえりなさい…かな」
これからはここが潤子さんの家になるのだからこれが正しいのだろう。
潤子「う…うん……えっと……ふ、ふつつかものですがよろしくお願いします」
涼「え……ぷっ…」
潤子さんの思わぬ発言に笑った。
潤子「もう!笑うとこじゃないでしょ!」
涼「しょうがないじゃん、潤子さんがそんな事言うなんて…」
潤子「もーおっ!離婚よ離婚っ!」
涼「早過ぎでしょ」
下手をすると国内最速で離婚してしまう。
涼「……でも、それでいいと思うよ、俺は」
ぎゅっと潤子さんを抱く。
潤子「あっ…」
涼「別に変に行儀良くしなくてもいいし、ちょっとぐらい料理下手でもいいさ」
潤子「涼君…」
涼「俺は、そんな潤子さんを好きになったんだから」
潤子「……ありがとう」
涼「一緒にさ、笑って泣いて喧嘩して、楽しもうよ。二人で」
潤子さんはその言葉の返事をするように、ぎゅっと抱き返してきた。
潤子さんの顔がぐっと近づく。
潤子「涼君」
涼「うん?」
潤子「大好き」
唇と唇が触れ合う。
外の空気が暖かい。
春の陽気。
2人の門出を祝福するかのような春の日差し。
2人は春の暖かさと共に幸せを堪能していた。