ガラッと教室のドアが開く。
入ってきたのは涼。
涼「あれ?涼君は?」
潤「…涼はお前だろう」
まだ元には戻っていない。
臣「そういや今日は見かけないな」
眞「ああ、授業の時にもいないから、休んでんじゃないのか?」
涼「ふーん、ちょっと気になるから家に行ってみるわね」
そのまま教室から出ていった。
梨「…よくあたしら2人の人格が入れ替わってるのに何の動揺もないわね」
芹「作者の作品は矛盾はあるしむりやりな展開が多いからね。こんなのどうってことはないさ」
……すみません。
で、(本物の)涼のアパートに到着。
ドアホンを押す。
涼「涼君、いる?」
潤子「…はーい」
明らかに体調の悪そうな声だ。
風邪でもひいたのだろうか。
かちゃっ、とドアが開く。
潤子「…ああ、潤子さん」
涼「ど、どうしたの?」
潤子「う、うん。ちょっと風邪ひいちゃってさ」
顔が真っ赤でかなり苦しそうだ。
ちょっとどころの風邪ではなさそうだ。
涼「とにかく、横にならないと」
潤子「うん…」
よろよろと歩く涼を支え、ベッドに寝かす。
涼「薬は飲んだの?」
潤子「うん…」
返事をするのも大変なようだ。
台所を見ると、コンビニの袋と即席のおかゆがあった。
食事はすでに済ませたようだ。
涼「とにかく、汗をたくさんかかないと」
潤子「うん…」
目をつぶり、しばらくすると寝息が立った。
身体は睡眠を欲しているようだ。
起きた時に汗を拭くタオルを用意しておかないと。
2時間が経った。
潤子「ん…んん…」
目が覚めたようだ。
起きようとするが、制止する。
涼「だめよ、起きちゃ」
パジャマの上着のボタンを外し、上半身を晒す。
…これが自分の裸か。
自分ではわからなかったが客観的に見るとこのような身体をしているのか。
そんな事を考えつつ、汗を拭う。
潤子「…ごめんね」
涼「…いいのよ。慣れない身体だったから拒絶反応みたいなのが来たんでしょ」
潤子「…かもしれない」
ある程度しゃべれるまで回復したようだ。
潤子「朝になったらさ、股が血だらけみたいになってさ、腹は痛いわ気持ち悪いわで一気に具合が悪くなってさ」
…そういえば計算すれば今日辺りがあの日だ。
潤子「女の子ってすごいんだな…」
涼「まあ薬で散らしてるし、血は慣れちゃえば平気よ」
涼の口調をみるとどうも弱気だ。
風邪の影響だろう。
ここまで弱々しいのは見た事がない。
汗を拭き終え、パジャマのボタンを留める。
布団をかぶせる。
涼「ゆっくり寝ててね」
ぽふぽふと布団を叩き、寝かせようとする。
潤子「うん…」
…ここまで素直だと逆に違和感を感じてくる。
いつもの涼がやはりいい。
翌日。
臣は大学にいく途中、潤子を発見。
臣「おー…どっちだ?」
身体は潤子で精神は涼なのでどう呼ぶべきか困る。
潤子「俺だよ」
臣「まだ戻らないのか」
潤子「ああ。早く元に戻りたいよ。女になってもいいことなんかありゃしない」
臣「そこまで言うか」
潤子「よくさあ、『生まれ変わったら異性になりたい』ってあるじゃん。あんなの興味本位なだけで実際になったら大変だって」
臣「…昨日の風邪はお前に多大な教訓を与えたみたいだな」
※まだ続きます。