時計を見た。
9時を指していた。
涼「もうこんな時間か…」
涼の一言に潤子がびくんっ、と反応する。
始まりの合図なのだろうか。
不安で一杯になった。
が、その不安は次の一言でかき消された。
涼「そろそろ帰った方がいいよ」
潤子「えっ…」
予想外の一言だった。
涼「…俺が潤子さんを抱くと思った?」
ぼんっ、と潤子の顔が赤くなる。
潤子「そ、それは…その……」
約束だから。
ぽしょっ、とつぶやく。
涼「約束、ね」
涼はぽりぽりと頭をかく。
涼「でも、嫌なんでしょ?嫌々やるなんて俺もやだもん」
…。
優しい一言だった。
口ではやる気まんまんだったが、本当はそうではなかった。
涼「だからね」
潤子をきゅっと抱く。
涼「潤子さんがいいって言うまで、待つから」
潤子「……………」
涼「…潤子さん?」
潤子「……あたしは…いいよ」
涼「……え?」
潤子「いいよ…だって……私のために試験、頑張ったんでしょ?邪な理由でも…私のために頑張ったんだもん」
涼「……いいの?」
こくん、と潤子がうなづく。
涼「途中でやめたりしないよ?」
再び、こくんとうなづく。
涼「絶対にやめないよ?」
再び、こくん。
潤子の顔を見る。
その顔は、女の顔になっていた。
少なくとも、そう見えた。
潤子「んっ…む…っ…はぁ…」
唇を離し、対象を潤子の首筋に切り替える。
潤子「ふぁ…んんっ…」
余計な脂肪がなく、ほどよい固さだった。
吸血鬼はひょっとしたらこの首の食感を求めていたら血を吸うようになったのかもしれない。
その吸血鬼に習うように、軽く吸う。
潤子「ふゃっ………あぅ…ん…ぅっ…」
ふと、手が寂しく感じた。
手が空をつかんでいるのはもったいなかった。
さまよっていた手が辿り着いた先は潤子の髪だった。
髪をすうっ…と触る。
指と指の間を通り、なんともいえない触り心地だった。
滅多に触れない髪だけに、その触り心地は気持ちよかった。
そして、その気持ちよさは自分だけではなかった。
潤子「んっ……ふっ…ぅぅ……」
髪を撫でる度、微かではあるが潤子の唇から声が漏れていた。
…しかし、行為を行う度、少しずつではあるが、物足りなさを感じてきた。
もっと触りたい。
その感情は行動に出た。
先程までお互い立ちっぱなしだったが、潤子をゆっくりとベッドに寝かせた。
横になっている潤子を見下ろしている自分。
そのシチュエーションだけで、妙に興奮している自分がいた。
上着を脱がし、下着が露になる。
あまり下着には関心がなかったが、今の潤子に妙にマッチしていた。
ブラ越しに胸を触る。
潤子「あっ……んっ…」
少し強く触る。
潤子「ふぅぅ…んっ…」
小さめの胸であったが、非常に柔らかかった。
よくマシュマロに例えられるが、それはあくまでも例えでしかなかった。
本物は違っていた。
違いは弾力、とでもいうのだろうか。
柔らかいがハリがあって、しっとりとした水気があった。
例えようがなかった。
だから、限りなく近いようで遠いイメージであるマシュマロに例えられたのだろう。
その柔らかさに夢中になっていた。
気がつけば、ブラを外している自分がいた。
形は崩れる事なく、綺麗な形だった。
ブラで保護していた部分の突起を軽くつまむ。
潤子「ふゃあっ…!」
ぴくんっと潤子の身体が動く。
胸だけでこんなに激しい反応が返ってくる。
下の方を触ればどうなってしまうのだろうか。
好奇心か、興奮か、あるいは両方か。
片手を突起に、そして残りの手を、
潤子「やっ…あっ…!」
割れ目に。
水気を感じた。
水というよりももっと粘着質だった。
…愛撫の必要はないかもしれない。
前戯はそもそも前フリでしかない。
本番のための下準備。
涼「潤子さん…入れるよ」
潤子「う…うん……」
自分のを潤子の部分に当て、ゆっくりと入れていく。
が、その動きは途中で止まった。
止まったというより、止められた。
処女膜。
膜を破ろうと、自分のを深く入れようとする。
潤子「いっ…痛…やめて……」
やめたかった。
だが、行為の前の約束を思い出した。
絶対にやめない。
自分の一言を呪った。
これじゃレイプと同然じゃないか。
潤子の耳元に、そっと囁く。
涼「ごめんね」
さらに強くねじこむ。
潤子「痛っ!お願いっ!痛いよっ!」
ぶつっ、という鈍い何かが切れた音がした。
処女膜を破った音だ。
見えはしなかったが、確かに感じた。
潤子の顔を見る。
泣いていた。
ぼろぼろと涙をこぼす。
潤子「ひどいよぉ……りょうくん…」
涼「…すぐに終わるから」
潤子の言葉を聞かないことにした。
すぐに終わるよう、自分が動かしたいように動かす。
潤子「ひっく…ぐすっ…いたい……いたいよ…」
破瓜で生じた出血が潤滑油になったためか、動かすには問題なかった。
問題があったのは自分の耳に入る、悲鳴にも似た声だった。
その声を早く止めるため、早く動かす。
限界は近づいてきた。
出す事を言う必要もなかった。
言う暇があればその分早く出すべきだ。
精を中に放った。
行為は終了した。
潤子「ひっく…ふぇぇ…えぐっ…っく…いたい…ょっ…」
涼「……」
何も言えず、ただずっと潤子を抱いて頭を撫でてやる事しかできなかった。
涼「…………おう」
芹「…どうしたんだ?そのクマ」
涼の目の下には真っ黒いクマができていた」
潤「その様子からだとほとんど寝てないな」
涼「…臣と眞一郎、ちょっと来てくれ」
三人は教室の隅に集まる。
涼「ちょっと聞きたいんだけどさ、お前ら梨香さん達とした?」
臣「梨香とか?ああ。したけど」
眞「俺もしたけど」
涼「悪いんだけどさ、ちょっと最初にやった時の事、教えてくんないかな。俺も教えるから」
臣「…って事は潤子としたのか」
涼「ああ。んで、ちょっと他の人どうなのかなって聞きたいんだ」
臣「俺ん時はひどかったな。なかなか膜破れねえし破ったら破ったですっげえ怒られて中断だよ」
眞「俺の時はそんなのなかったな。痛がってたけどそんなに痛くないらしくてそのまま終わったな。んで、涼は?」
涼「んー………ちょうど2人のを足して2で割った感じだな」
臣「ちょっと待て。強引に破ってそのまま強引に終わらせて、その後に潤子パンチを食らわされたって事か?」
涼「…………2で割れって」
眞「なるほどな。で、結局ほとんど寝ないで大学に来たか」
臣「肝心の潤子は?」
涼「今日は休むそうだ。まだ何か入ってる感じがするって」
眞「しばらくすれば痛みもおさまるさ。で、2度目はどうすんだ?」
涼「まあ…………するけどさ」
ぶわっ。
悪寒がした。
ようやく痛みや違和感が消えたと思ったら今度は悪寒だ。
悪寒の原因を探ってみる。
潤子「……涼君…なのかな」
だとすると。
昨夜の事がフラッシュバック。
潤子「うう……またするのかな…」
ご名答。