涼「ただいま〜」
春「お父さん、おかえりなさい」
涼「ああ、ただいま。春香」
綾「お帰りなさい。涼さん」
涼「ただいま、綾」
ふと、春香が俺が持っている袋を見つけた。
春「お父さん。これ、なんです?」
涼「ああ、同僚から酒をもらってね」
春「そうですか……」
すでにお酒は飲んではいけないとしつけているのでその辺は大丈夫。
綾「結構高そうですね」
涼「ああ、なんか地酒みたいだけどなんか有名な酒みたいだ」
綾「飲みます?」
涼「ああ。早速飲んでみるよ」
そして晩御飯。
コップに酒を注ぐ。
ちらりと台所の方を見る。
そろそろ綾も料理が完成する。
まあ俺も手伝うとするか。
あとは春香のコップに水を入れるだけかな。
コップを持ち、蛇口をひねって水を入れる。
それをテーブルに置いた。
涼・綾・春「いただきます」
まずはやはりあの酒から。
コップに手をかけ、まず一口。
…………へえ、ずいぶんと飲みやすいな。
日本酒は結構キツいものかと思ったけどかなり薄味でまるで水のよう……。
…………………………………………………………………………………………水?
もっぺん飲む。
…………………水だ。
涼「………綾、ちょっと飲んでみて」
綾「え?あ、はい」
綾にコップを渡し、綾が少し飲む。
綾「……これ、お水ですね」
涼「…おかしいな。俺は確かに入れたはずだけど…」
綾「このコップにですよね?」
涼「ああ………綾のはどうやら水みたいだし………」
ほぼ綾と同時にはっとなり、春香の方を見た。
春香がこくこくと飲んでいる。
……あのコップだ!
だが、すでにコップの角度は真横になっていた。
完全に飲み干した。
ぱっと春香のコップを取り、残りを指ですくいとり、口に運ぶ。
涼「……酒だ」
と、言う事は……。
春「ふに………」
ものの見事に一気飲みか。
初めて飲んだ酒が一気飲みとは……。
春香の顔が真っ赤っ赤になっている。
涼「うわ…完全に真っ赤だな」
綾「ど、どうします!?」
涼「おい、春香。大丈夫か!?」
春香の頬をぽんぽんと叩く。
春「うに………あつい……」
と、春香が自らのブラウスのボタンに手をかける。
……脱ぐ気か。
涼「綾、至急タオルを水で濡らして」
綾「は、はい」
春香の手を止める。
すでにブラウスのボタンが2つほど外れていた。
春香は酔うと脱ぐクセがあるのか。
………後々問題になるな。
春「うう……なんでじゃまするですか……」
そりゃ邪魔します。この場合。
涼「はいはい、寝れば涼しくなるから」
春「……ほんとですかぁ」
なんとか丸め込むか。
涼「ほんとほんと。いっぺん寝ちゃえばすぐに涼しくなるから」
春「…………………じゃ、寝ます」
……ふう、一難去ったか。
涼「春香は?」
綾「ぐっすり眠っています」
涼「ふう……コップはそれぞれ違う色にしよう」
綾「そうですね」
涼「……まあ、綾だったら間違えても問題はないか」
綾「もう…」
だが、問題はこれだけではなかった。
春「うー……」
二日酔い。
そりゃ一気に飲めば二日酔いになる。
春「あたまいたいです……」
涼「………今日は保育園休ませるか」
綾「…そうですね」