涼「母さん、なんです、それ」
綾の母「ええ、これはアルバムよ」
涼「というと、綾の昔の写真も」
綾の母「見る?」
…………………。
涼「めっちゃ見たいです」
それを聞いてきたのか、綾が来た。
綾「ちょ、ちょっとお母さん……」
綾の母「あらあら、昔の写真、涼君に見せたくないの?」
綾「だ、だって……………恥ずかしいですよぉ………」
涼「……かわいいんだろうな、子供の頃の綾」
綾「………じゃ、じゃあ………ちょっとだけならいいですよ」
さすが夫。
妻の考えを見抜いてらっしゃる。
綾の母「じゃ、開けるわね」
アルバムを開いた。
幼い頃の綾の写真があった。
涼「おっ、やっぱりかわいいな…」
綾「もう…涼さんたら……」
綾の母「………夫婦喧嘩は犬も食いませんが、いちゃいちゃも食べませんよ」
涼・綾「あ」
次のページをめくる。
今度は中学生らしき頃の綾の写真。
落ち着いた感じが出ている。
涼「この頃になると今のような雰囲気が出てるなあ」
綾「そうですか?」
綾の母「意外と自分じゃ気がつかないのよ。雰囲気っていうのは」
次のページ。
涼「………おや、写真はやや古そうなのに今の綾が写ってる」
綾「あ、本当ですね」
綾の母「…………うふふ」
涼「……なんです母さん。急に笑い出して」
綾の母「この写真、私よ」
涼・綾「ええっ!?」
綾の母「ええって、何もそんなに驚かなくても………」
涼「こ、こ、こ、この写真の質から見ると15年ぐらい前のものですよ!?」
綾「じゅ、15年!?」
この写真の母さんと、今の母さん……………………全然変わってないっすよ!??
…………ものすごいとしか言い様がない。
とりあえず、次のページ。
涼「げ」
セピア調、様は白黒写真なのに綾さんによく似た人が………。
涼「これ………………もしかして」
綾の母「ええ、私のお母さん。つまり、綾の祖母よ」
涼・綾「ええーっ!!??」
綾の母「そ、そんなに驚かなくても……」
涼「驚きますよ。おばあちゃんの隣に母さんらしき子供いますから…………30年、あるかどうか………」
綾の母「本当、懐かしいわ………」
懐かしいというのをすっとばして超常現象を見たような気分だ。
涼「……と、言・う・こ・と・は…………綾も老けないって事!?」
綾「た、確かにそうなりますね……」
涼「ちょ、ちょっと待て……………って事は春香もって事か!!?」
………………………………………………すごい、すごすぎる。
若く見える遺伝子みたいなのがあるのだろうか。
……………………………高く売れるかも。
涼「……………………はっ」
綾と母さんがじーっと見ていた。
軽蔑に近いものがあった。
涼「すんませんでした」
俺はただ平謝りするしかなかった。