涼「うー、寒………」
かなり冷えこんできた。
涼「冬、か……………」
そういえば、東北地方は雪が降っているニュースを聞いた。
もしかすると、この辺りも降るのかもしれない。
…………廊下にいると凍死になりそうだ。
コタツのある部屋へ行こう。
涼「ふー……」
コタツに足を突っ込み、足に暖かさを感じた。
極楽極楽……。
すると、ててて、と足音がした。
春香だ。
春香がこちらの部屋に来て、コタツに入った。
春「はあ…………」
ふふ、春香も同じか。
夜。
かなり冷えこんできた。
布団に入っても、冷えは治まらないな………。
よし、ここはひとつ。
涼「春香、一緒に寝ようか?」
春「はい」
春香もわかっていたようで、あっさりと決まった。
…………綾がなんか寂しそう…。
涼「綾も一緒に寝よっか?」
ダブルベッドなので、春香ぐらいの小ささなら別に問題は無い。
綾「えっ!?」
綾がすっとんきょうな声を出す。
涼「…………嫌?」
わざとしょぼんとした顔をする。
綾「い、いえ………そういうわけでは…」
涼「じゃ、寝よっか」
瞬時に顔を変えて笑顔にする。
綾「え、あ…はい」
またしても。
そんな顔をした。
綾「反則ですよお………」
涼「綾だけにね」
ちゅっと頬にキスをする。
綾「もお………………」
ベッドに入る。
すでに春香が入っていた。
涼「春香、寒い?」
春「ちょっとだけ…」
涼「じゃ、俺がカイロ代わりになるよ」
俺もベッドに入る。
風呂上りなのでだいぶ暖かくなってるはずだ。
涼「ほら、暖かいだろ?」
春香の手をきゅっと握る。
春「うん……」
こちらも少々のぼせ気味だったので春香の少し冷たい手が気持ち良かった。
春「すー…すー……」
春香が眠りに入った。
そろそろ綾が来る頃だが……。
綾「お待たせしました」
声のした方を見ると、綾が立っていた。
綾は俺の左隣に春香がいるため、右隣に入った。
涼「そういえば…最初、俺が一緒に寝ようって言った時、すごく驚いたみたいだったけど………」
綾「え………それは…その………」
綾は春香の方を見た。
ああ、聞かれたくないのだろう。
涼「大丈夫、春香ならもう寝ているよ」
綾はほっとし、口を開いた。
綾「春香の隣で………するなんて…………と思ってしまって…」
顔を赤くしつつ、返答してきた。
涼「……………………くすっ…」
綾「もう……………」
綾はふくれっ面になった。
涼「その辺は大丈夫。春香に知られないように考えてあるし、それに見られたりしたら大変だからね」
綾「大変……?」
涼「お父さんとお母さんの仲の良さっていう題名の作文だ」
綾「あ……」
涼「夜いつもケンカばかりしていてお母さんがいつも泣いてるって、書かれたら大問題だから」
綾「そ…それは確かに問題ありますね」
涼「………で、今日………したかった?」
綾「…………」
先程顔が赤かったが、さらに赤くなった。
綾の頭を撫でて、
涼「ふふ、今日のお相手は無理みたいだ。春香がしがみついてるし」
背中の方を見ると、春香が俺の胴体を抱きつき枕のようにして寝ていた。
さすがに今日は無理である。
涼「……そういえば、今日はだいぶ冷えこんでたけど…寒い?」
綾「はい、ちょっとだけ……」
涼「じゃ、ちょっと待って」
手に息を吐く。
息で暖まった手をぴたっと綾の頬に当てる。
綾「涼さん……」
涼「暖かい?」
綾「はい…………」
潤んだ瞳が綺麗だった。
さてと、そろそろ寝…………あ。
涼「まいったな……枕がない」
このベッドの枕は2つしかなかった。
1つは春香が使っているため、残りは1つになってしまった。
涼「じゃあ、残りは綾が」
綾「いえ、涼さんが使ってください」
え?
涼「じゃあ、綾はどうするの?」
綾「涼さん、腕、私の方に出してください」
涼「こう?」
右腕を綾の頭の後ろになるように出した。
そして二の腕辺りを枕にして綾がぽふっと乗っかった。
俗に言う腕枕である。
涼「綾……………」
綾「今夜は………甘えてもいいですか……?」
涼「うん……」