karpfen

というわけで体育。
授業の内容は柔道。
梨「…ひどい展開よ、作者」
潤子「前フリが思いつかないといつもこうなんだから」
更衣室にてブーブーと言いつつ着替える。
梨「まあでもアンタにとっちゃ夢の時間よね」
潤子「そうねえ、無理やり柔道着をはだけて乳ポロリは最高ね」
梨「オッサンか…」
普通女子高生は『乳』とか言いません(大阪の方は言うかもしれませんが)。
担任の喜久子先生も一緒に着替え中、2人の会話を聞いていた。
喜「ふふ、残念だけど柔道着の下はシャツは着てもらいますよ」
潤子「えーっ、面白味がないなあ…」
梨「そんなところに面白味を見出す必要はないでしょ」

で、授業開始。
喜「みなさん、柔道は中学でも少しだけ習いましたね?」
全員はーい。
喜「それじゃあ、準備体操をしてから受身の練習、そして技の練習をしましょう」

受身を終えて、技の練習へ。
当然、2人一組になるわけで。
梨「美夏、早速やるわよ」
梨花は即座に美夏と組む。
潤子「うわ、早いわねこの百合候補生」
梨「あたしは百合じゃないっての!」
極度のシスコンではあるけど。
梨「…死にたいの?作者」
ひぃぃ。
潤子「…」
潤子の視線は当然のように綾。
案の定どうしようかおろおろしている。
よし、ここだ。
綾に近づく。
潤子「ねえ、綾って言ったっけ?」
綾「あ、はい」
潤子「良かったら、組んでみない?」
綾「いいんですか?」
潤子「うん。あたしもパートナー見つからないし」
梨「…嘘つきなさいよ」
綾「それじゃ、よろしくお願いしますね」
潤子「ええ」
綾の見えないところで拳をイェスッ!てな勢いでグッと握る。
はたから見ればアホ丸出しである。
ところで、潤子達のクラスの人数は奇数。
となると、2人一組を作ると…、
和「あぅぅ…」
休みとかがいないと必ず1人余るわけで。
ものの見事に和佳奈が余る。
喜「あら、それじゃ私と組みましょうか」
和「ええええっ!?」
喜んでんだか驚いてんだかわからない声を出す。
喜「大丈夫、優しくしますから」
和「は、はい…おねがいします」
潤子「…なんかエロイ会話ね」
梨「それはアンタだけよ」

早速、投げ技の練習。
背負い投げの練習。
潤子「じゃあ、綾からやってみて」
綾「は、はい」
作者の小説をある程度読みまくっている方ならご存知のように、綾は運動が苦手。
となると、それは柔道にも適用されるわけで。
綾「ん…んー…」
どうも投げ方がわからない。
綾「んーっ…」
力任せに投げようと、精一杯力む。
が、当然のように非力なので無理。
潤子「……」
それを見てニコニコしている潤子。
必死に投げようと『んーっ』って頑張ってる綾。
いい表情だ…。
梨「…アンタ、マニアックよ」
ツッコまずにはいられない梨花だった。
潤子「…そろそろね」
独り言をぽそっと言った。
綾のへたっぴな背負い投げに合わせて、ころんと転がる。
潤子「きゃっ」
綾「わっ、やっとできました!」
潤子「すごいわね、そんな簡単には出来ないわよ」
綾「本当ですか?ふふ…」
綾がにこっと笑う。
いい表情だ…。
梨「…どんだけ計算してんのよ」

背負い投げを練習した後、寝技の練習へ。
梨「…普通、内股とか体落としとかやるでしょ」
喜「とりあえずシンプルな袈裟固めをやりますね。それじゃ和佳奈さん、寝技をかけてくださいね」
和「ええええっ!?」
先程と同様に喜んでんだか驚いてんだかわからない声を出す。
和「いいいいいいいいいいいんですか?」
喜「ふふ、緊張しなくてもいいんですよ」
和「えええっと…その…しますね」
潤子「…やっぱりエロイ会話よね」
梨「…やっぱりアンタだけよそんなの」
とりあえず袈裟固めをする。
ふと、固めが甘いのに気づいた喜久子は、
喜「寝技のかけ方が甘い場合は…」
和佳奈の股間に手を突っ込み、お尻の辺りを持つ。
もう片方の手は襟よりちょっと胸に近い部分。
喜「えいっ」
バタンッ!
瞬時にひっくり返る。
喜「このようにひっくり返されますのでちゃんとかけてくださいね」
注※実際に返されました(実話)。
一方、ひっくり返された和佳奈は、
綾「せっ、先生っ!和佳奈ちゃんが気を失っています!」
気絶していた。
というより、昇天に近い。
憧れの先生に股間に手を突っ込まれて胸をつかまれて押し倒されたという解釈をすれば当然こうなる。
潤子「…いいカオしてるわねえ」
どこぞの鑑定士のようなコメントだ。

とりあえず昇天中の和佳奈はともかくとして寝技の練習に。
梨「…アンタものすごいカオしてるわね」
潤子「え、そう?そんなわけないじゃーん♪」
潤子の顔はめっちゃニヤニヤしていた。
待望の時間がやってきたのだからそりゃあニヤけるのも当然だ。
ところが、
綾「あの…先生…」
喜「あら、どうしました?綾さん」
綾「ちょっと気分が悪いので…見学したいのですが…」
喜「それは大変ですね。それじゃこの後は見学してください」
潤子「え」
梨「…ざまぁみなさい」
先程の練習で体力を使い切ったのか、それともエロいオーラに汚染されて体調を悪くしたのかのどちらかであろう。
悪が栄えた例無し。
喜「それじゃ、綾さんの代わりに私がお相手しますね」
潤子「ちぇーっ、綾とやりたかったのに」
喜「ふふ、よっぽどお気に入りの子なのね」
喜久子はどうやら潤子の思考がまるわかりのようで。
喜「でも、無理はさせちゃいけませんよ。それじゃどうぞ」
潤子「はーい」
とりあえず渋々袈裟固め。
ぽよん。
潤子「うっ!」
喜「…どうしました?」
潤子「な、なんでもないです」
言葉だけは冷静だった。
だが、脳内は程よくパニクっていた。
うわっ、やわっけー!
袈裟固めは相手の上半身の上に横身を乗せる体勢のため、胸の感触がダイレクトに来る。
ぽよんぽよんとした感触が肩に当たる。
潤子「こいつは、強力すぎるわ…」
喜「実際の柔道だとあまり見かけないだけに逆に決まれば強い技かもしれませんね」
話がものの見事に食い違っていた。

寝技の練習終了。
梨「どう?」
潤子「…めっちゃぽよんぽよんしたんですけど」
梨「……さすがのアンタでも動揺はするのね」

で、早速試合。
綾は引き続き見学、和佳奈はまだ昇天中。
喜「とりあえずトーナメント形式にしましょう。優勝した人は私のお昼ご飯のおかず一品差し上げますね」
全員のテンションがほどよく上がる。
料理上手として有名な喜久子の手料理が一品だけでも食べられるのは光栄なのだ。
くじ引きの結果、潤子と梨花は別のブロック。
一方、美夏は最初に梨花とぶつかる事に。
梨「よっしゃ!」
潤子「…普通喜ぶ?」
本来の双子なら『なんでアンタなのよ』とか言いそうだが。
梨「しょっぱなからあたしに負ければろくでもないメス猫とやるハメになっちゃうんだからラッキーよ」
潤子「……あんたもろくでもないわよ」

で、当然のように梨花と潤子は勝ち続け、決勝。
ここで梨花は不利な状況に立たされている事に気がつく。
相手は百合好き。
寝技にでもなったらエライ事になる。
となると……短期決戦しかない。
梨花は賭けに出る。
梨「………失敗したらこの話は18禁ね」
…もう十分18禁の内容だと思うけど。

潤子「さあて、準備はいいかしら?」
わきわきと手が動く。
梨「…すでに手がエロいわよ」
『殺る気』ではなく『犯る気』満々のようだ。
喜「それでは、はじめ!」
試合開始。
と同時に梨花は一気に距離を詰める。
短期決戦をする気か。
けど、それは予想している。
迎え撃つまで。
と思った直後、視界から梨花が消える。
潤子「えっ」
急に視界が天を向いた。
転ばされた。
組んでもいないのに。
バタンッ
潤子「きゃっ!」
喜「一本」
足元を見ると、梨花の腕が両足に絡みついていた。
潤子「た……タックル?」
梨「諸手刈りって言ってね、ちゃんと柔道の技よ。残念だったわね」
潤子「…一歩間違えればエライ事になってたわよ」
梨「まあね、でもそれが勝負ってもんでしょ」
潤子「…参ったわ」

そんなこんなで終了。
で、授業も終了間近になってきたので喜久子が和佳奈をぽんぽんと叩いて起こす。
和「…ん…」
喜「和佳奈さん、気がつきましたか?」
和「……あれ……」
ふと、和佳奈はある違和感を感じた。
喜「…どうしました?」
和「…この格好って…」
和佳奈は今の自分の体勢に気づいた。
後頭部はふわっとしており、正面には喜久子の顔がかなりの距離。
足は接地感がなく、背面に重力を感じる。
寝ているというのはなんとなくわかった。
立ちっぱで気絶するのは至難の業。
となると……。
喜「ええ、膝枕ですよ」

ぼんっ

再び気絶。
潤子「あーあ、また気絶しちゃったわ」
梨「刺激に敏感すぎるわね」
綾「……でも、なんだか幸せそうですね」
美「すごくいい顔してますね」
押し倒されるわ(過剰解釈)膝枕されるわ(成り行き)と非常に忙しい和佳奈だった。

後書き

今回の話は一応考えてたけど大半の部分がその場その場で考えて書いたパターンです。
最近はこういうパターンはありませんでした。
大抵は最初から最後まで考えて書いてるのですが(それが当たり前だけども)。
女だけの展開、というのは他のプロジェクトでもちょっとだけならありますが、完全に女だけというのは新鮮ではありますが結構大変だなというのも実感しました(笑)。
2話目で早くも弱音みてえな事書いてますが、まあ書いてる時は楽しんで書いてますのでそんなに心配しなくても大丈夫です。
それでは次回にて。