秋の章
36.9℃

初めに

さて、今回は、今までとは違った作品を作ろうと思います。
それは……『15禁モノ』です。
とはいえ、15禁とまではいかないかもしれませんが、せいぜい12禁ぐらい?
さて舞台は夏休みが終わり、2学期が始まり、2学期を舞台とした話です。

さて、季節は代わって秋。
2学期が始まり、再び学校生活が始まった。
あの夏休みの時により、綾さんとの関係がずいぶんと発展した。
一緒に登校したり、帰ったりする所まで発展した。

9月の半ば頃。
電話が鳴った。
俺の部屋にも電話が置かれているため、部屋中に鳴り響く。
当然、けたたましい電話のベルで起こされるはずだ。
涼「…ん……誰だ…」
寝ぼけまなこの状態で時計を見る。
6時28分。
俺は7時に起きるため、6時30分では早起きの部類に入る。
涼「くっそー、…誰だよ…こんな時間…」
愚痴を言いつつ、受話器を取る。
涼「ふぁい…如月ですけど……」
頭を掻きつつ話す。
電話の相手は老人の声だった。
電話の相手「朝早くから誠に申し訳ないが藤原信蔵と申すものだが、涼君かね?」
え?綾さんのおじいさんから?
意外な電話の相手に驚き、一気に眠気が覚めた。
涼「はい、涼ですけど」
信蔵(以下、信)「おお、涼君か、実は、綾のことなんじゃが…」
綾さんの事?
涼「え?綾さんがどうか…」
信「うむ、実は綾がの……」
おじいさんの話した内容はこうだった。
綾さんが熱を出してしまい、本人は行くといっているのだが、家族はひどくなるのではないかと考え、休ませようとしているのだ、そして、俺に相談をしたのだった。
これが話の内容だった。
しかし、ここで俺は疑問を持った。
涼「しかし、なぜ俺に?家族での問題でしょう?」
これが俺の疑問だった。
そしてその解答が返ってきた。
信「質問を質問で返してしまうが、お前さんはどう思う?」
涼「どう…思う…か」
そりゃあ、確かに休んだほうがいいと思う、それに、綾さんが高熱で寝込むなんて事は想像したくない。
涼「休んでほしいと思います」
信「うむ、そうか…それでは先ほどの質問の答えをしよう」
おれは思わず息を飲んだ。
信「家族では休むべきか行かせるべきかで賛否両論なので、本人がやはり決めるべきだろうと考えた」
おれは思わずうなづいた。
信「しかし、わしとしては行かせたくないのが心情」
俺はおじいさんの言うことに納得した。
おじいさんにとっては綾さんは大事な孫娘。
やはり心配なのだ。
信「そこで、おぬしに頼みがある」
涼「頼み…」
信「綾を休ませる様に説得してほしいのじゃ」
涼「説得?俺が綾さんを、ですか?」
信「左様、お前さんなら綾を説得できるはずじゃ」
涼「しかし、なぜ俺に?先生と相談すればいいのでは?」
信「確かに、先生と相談すれば問題はないだろう、しかし、仮に相談してみて、結果はどうなると思う?」
俺は状況を考えた。
おそらく、本人の意志にまかせるといった結果になるだろう。
自分勝手な想像かもしれない、しかし、結果は結果だ。
涼「状況は…変わらないと思います」
信「うむ、そこで、綾の友人であるお主なら説得できると思ったのじゃ」
涼「でも…俺にできるでしょうか…」
信「そこはお主の綾を思う気持ち次第じゃ」
全ては俺次第、か…。
信「それでは、綾に代わるぞ」
涼「はい」
すると、足音がしてきた。
コードレスか。
あの家からは想像しづらいことだった。
足音が止まった。
多分綾さんの部屋についたのだろう。
会話が入ってきたが、聞き取りづらく、少しだが聞き取れた。
『本当に電話をしたの?おじいちゃん?』
『うむ、涼君なら説得できると思ってな』
『如月さん…まだ寝ていたんじゃ…』
『多分…寝ていたと思うの、最初の声は寝ていたからのう』
『もう…私が謝るから、早く!』
この直後、会話が止んだ。
おそらく、綾さんに代わったのだろう。
綾「あの…如月さん?」
涼「おはようございます、綾さん」
綾「ゴホッ…、おはようございます、ごめんなさい、まだ寝ていらしたんですよね?おじいちゃんが起こしてしまったみたいで…」
涼「いや、気にしなくていいよ、それより…やっぱり咳込んでますね」
綾「朝から少し…熱と咳が…あ、でも大丈夫です、学校には行けますから」
涼「熱って言うと…どのくらい?」
綾「36度9分です」
涼「そうですか…」
綾「大丈夫ですから、安心してください」
綾さんは『大丈夫』の部分を強調して、返事をした。
しかし俺はおじいさんとの約束もある、何とか説得しなきゃ。
涼「今日は1日休んでください、学校に行っては駄目ですよ」
綾「でも、私は」
涼「駄目です」
少し厳しめの口調で言った。
受話器の向こうで息を飲むような感じがした…驚かせたかもしれないな。
軽く咳払いをして、こう言った。
涼「風邪のひきはじめだから大丈夫だと思っているかもしれないけど、ひどくして2,3日は寝込んでしまう状態になりますよ、それに、他の人に風邪を移してしまったらどうするんですか?『学校に行きたい』という熱意はわかります、けれども、俺の言うことをわかってほしい…、俺は綾さんが風邪で熱を出して倒れると言う状況を想像したくないんです…、綾さん、わかってくれますね、俺の言っていることを…」
返事が来ない。
考えている様だ。
綾「わかりました、今日1日で治しますので、休みます」
10秒ほどして、返事が返ってきた。
涼「ありがとう…わかってもらえて」
綾「いえ、こちらこそ…心配してくれて…」
涼「い、いや、別にいいんですよ」
綾さんの言葉に照れる。
涼「それじゃあ、学校の帰りにお見舞いに行くから」
綾「はい、わかりました」
ふー、何とか説得できたか。
涼「それじゃ、おじいさんに代わってくれる?」
綾「わかりました」
しばらくして、おじいさんの声が聞こえた。
信「ありがとうな、涼君」
涼「いえ、それほどでも」
信「愛するもののためなら火の中水の中、じゃな」
涼「そのようなものですね」
照れながら言う。
涼「それじゃ、俺はこれで」
信「うむ、ありがとうな、それでは失礼する」
受話器を置く。
涼「ふー、なんとか終わったか」
ちらりと時計を見る。
6時50分を指していた。
涼「さてと、学校に行く準備でもするか」
学校が終わったら急いで綾さんのところにお見舞いに行こう。
放課後が待ち遠しく感じた。

3時間目。
あー、早く行きたい早く行きたい早く行きたい。
異常に授業が長く感じる。
まだ3時間目かよ…。
なんでこんな長えんだ。
そんなことを考え、3時間目終了。
休み時間。
この後は4時間目、昼休み、5、6とまだ続く。
ざっと見て4時間もある。
あと4時間も耐えられねえ……。
…くっそー…こうなったら最後の手段。

20秒後。
俺は職員室にいた。
担任の先生を探す。
おっ、いたいた。
涼「先生、ちょっと風邪ひいちまったもんで早退させてください」
先生「ん、そうか、それじゃ帰りなさい」
涼「わかりました」
職員室を出た直後、俺は大急ぎで教室に戻り、荷物を整えてすぐさま学校を出た。
よーし、うまくいった、さあ、とっとと綾さんのところにお見舞いに行こう。
俺は綾さんの家目指して全力疾走した。

綾さんの家に着く。
息を整えて、チャイムを押した。
ピンポーン。
音が鳴ってから10秒ほどした後。
声「はい、藤原です」
老人の声がした。
おそらくおじいさんだろう。
涼「えっと水無月高校の如月ですけど…綾さんはいらっしゃいますか?」
声「おお、涼君か、もうきたのか」
涼「ええ」
声「それじゃ入りなさい」
涼「わかりました」
門のドアを開け、門を通って中庭に出る。
そして家が見える方向に向かって歩く。
1、2分ほど歩いて、家の玄関についた。
俺は軽く玄関の戸を叩いた。
信「おお、来たか、上がってきなさい」
涼「お邪魔します」
中に入るとおじいさんがいた。
信「しかしこんなに早く来るとは思わなかったの」
涼「それは…その…綾さんに早く会いたくて」
照れながら俺は言った。
信「ほっほっほ、照れなくてもいいわい」
笑いながらおじいさんが言った。
涼「それで、綾さんの様子は?」
信「うむ、今のところ問題なさそうじゃ」
涼「そうですか、よかった…」
俺は安堵の吐息をはいた。
信「今、部屋で寝とるが、入ってみるかの?」
涼「ええっ?いいんですか?」
信「うむ」
俺は今のおじいさんの言葉に驚きを隠せなかった。
綾さんの部屋に入れる………。
以前入ったときもあったけど、あの時はいろいろなことがありすぎて実感なかったけど、今回は、綾さんと2人っきりだからな…。
涼「そ、それじゃ、遠慮なく」
信「うむ、ゆっくりしていきなさい」
おじいさんは別の部屋に向かった。
綾さんの部屋の前に立つ。
そして軽く戸を叩く。
涼「綾さん、涼だけど、入るよ?」
綾「え…りょ、涼さんですか?」
さて、ここで綾さんの言った『涼さん』について説明しなければならないだろう。
きっかけは、夏休みも半ばに入った頃。

涼「あの、綾さん?」
綾「何でしょう?如月さん」
涼「えっとね、その…これから『涼』って呼んでくれないかな?」
綾「え?」
涼「今まで親とか友達とか先生に『涼』って言われてきたせいか、『如月』って言われると自分らしさが出てこなくて…その……なんて言うかな、なんか…調子が出なくて」
綾「迷惑…だったんですか…?」
涼「い…いや、そんなことはないよ、『如月』って言われても別に気分が悪くなるんじゃなく、『涼』って言われると、親しさがわかって、こっちも嬉しくなるんだよ」
綾「そうだったんですか…」
涼「うん…だから、綾さんもできれば『涼』って呼んでくれないかな?」
綾「はい、わかりました、『涼さん』」

このようないきさつによって『涼さん』と呼ばれるようになった。

涼「うん、涼だけど…入るよ」
綾「どうぞ」
俺は戸を開けて中に入る。
以前も綾さんの部屋に入ったことはあったが、綾さんの布団が敷いてあるせいか、新鮮な感じがする。
特に新鮮さを感じたのは綾さんの寝間着だった。
和風の家に生まれ、和風の家で育てられたのだから、当然、服装に関しても和服だと考えていた。
ところが綾さんの寝間着は浴衣のようなものではなく、パジャマだった。
和風の部屋にパジャマはミスマッチではあるが、逆に新鮮さを感じた。
しかも、パジャマの色は藍色。
藍色という色のためか、綾さんが非常に色っぽく見えた。
そんなことを考えた矢先。
綾「あ、あの…そんなに見ないでください…」
綾さんの言葉ではっと我に返った。
綾さんのパジャマに見とれて、じっと眺めてしまった。
そのため、綾さんの顔は真っ赤になっていた。
涼「あ、え、えっと、ごめん」
思わずつられて俺も赤くなってしまった。
雰囲気が少し気まずい。
話題を変えなきゃ。
涼「そ、そうだ、綾さん、具合はどう?」
綾「あ、はい、良くなりました」
涼「えっと、体温計はある?」
綾「いえ、ここには…」
涼「それじゃ、ちょっとおでこ貸してね」
綾「え?」
俺は綾さんの所に近づき、綾さんの額と俺の額を合わせる。
俺はここで体温の高低を調べる。
基本的に俺の家ではこの方法、もしくは体温計で計る。
えーと……、とりあえず熱は下がったかな…。
……あれ?…なんか熱くなったような…気のせいかな。
俺は綾さんの額から遠ざける。
涼「とりあえず熱は下がったけど…あれ?」
なぜか綾さんはボーッとしていた。
涼「あ、あの、綾さん?」
綾「は、はい」
どうしたんだろ、俺なんかやったかな?
涼「とりあえず熱もなさそうだし、これなら大丈夫だね」
綾「あの、涼さん、1つ聞いてもいいでしょうか?」
涼「いいけど、何?」
綾「どうして、こんな時間に来たんですか…」
涼「綾さんのお見舞いに早く行きたかったからね」
綾「そんな……私なんかのために…」
ヤバイ、本音が出てしまった。
ああ、綾さんが顔真っ赤にしてうつむいちゃったよ。
何か話を変えなきゃ。
チラリと時計を見る。
時計は11時50分を指していた。
涼「あ、そうだ、綾さん、おなか空かない?」
綾「え、ええ」
涼「ところで綾さんのお母さんはどこに?」
綾「お母さんは仕事でいません」
涼「というと、お父さんも?」
綾「はい」
涼「うーん、それじゃあ俺がお昼ご飯作ってあげようか?」
綾「えっ、涼さんがですか?」
涼「そうだけど、それとも、俺の作ったのじゃ、ダメ?」
綾「いっ、いいえ、そんなことはありません」
涼「それならよかった、おかゆだけど…いい?」
綾「はい」
涼「それじゃあ作るから、ゆっくり寝ていてね」
綾「はい、わかりました」
俺は部屋から出て、戸を閉めた。
台所に向かう途中、おじいさんと会った。
信「どうじゃ、綾の様子は」
涼「とりあえずよくなっているようです、1日寝ていれば問題ないでしょう」
信「うむ、そうか…ところで、これからどうするつもりじゃ?」
涼「ええ、綾さんのためにごはんでも作ろうかと」
信「ほお、涼君の手料理か、綾も喜んでいるじゃろ」
涼「ちょっと、からかわないでくださいよ」
俺は赤面しながら返事をした。
信「それじゃ、頑張って作りなさい、わしはもう食べたからいらんからな、外にでも散歩してくるとしよう」
涼「はい」
おじいさんと別れ、俺は台所に行った。
よーし、おいしいものを作るぞ。
…と、いってもおかゆなんだけどね。
米びつから米を取りだし、米を研いで鍋に入れて、水の分量を考えた。
さてと、どのぐらいの量にするか。
ま、ある程度お腹に負担をかけない程度の量にするか。
適度の量の水を入れ、ひたすら煮る。

20分後。
そろそろかな……。
鍋の蓋を開けてみる。
一瞬、湯気で視界が真っ白になるが、すぐに元に戻った。
見た目はある程度よし。
後は味だ。
途中、塩を入れて味付けしたから適度の味になるはず。
少しだけ取り、味見してみる。
よし、バッチリだ。
おかゆを茶碗に移し、お盆に乗せる。
そのまま綾さんの部屋に持っていく。
綾さんの部屋の戸の所に着く。
涼「綾さん、おかゆができたよ」
綾「………」
返事がない。
涼「綾さん?入るよ」
俺は戸を開け、部屋に入った。
そしてその直後、返事がない理由がわかった。
綾さんは寝ていたのだった。
涼「なんだ…寝ているのか…」
綾さんの寝顔を見る。
すーすーと吐息を立てて寝ている。
くー、かわいいな。
まったく、綾さんの寝顔を見れて幸せもんだな、俺は。
お盆を布団の隣に置く。
さてと、これからどうするかな。
とりあえずやることもないし、看病することにした。
しばらくすると、綾さんの状況がわかってきた。
綾さんがかなりの汗をかいていることに気付いた。
まずいな、汗が冷えて寒くしてしまうかも。
汗を拭いてあげよう。
近くの所にタオルがあったので、それを使って綾さんの顔を拭く。
起こさないようにできるだけやさしく、やさしく…。
軽くなでるような感じで拭いていく。
さてと、次は上半身か。
掛け布団を少しはがし、パジャマのボタンを外す。
そして、パジャマを腕の部分を残して脱がす。
その直後、頭の中で自分と何かが対話しているような感覚が起きた。

『お前、何やってんの?』
『えっ?何っていわれても…見ての通り』
『んなこたわかってる』
『それじゃ何だ?』
『…お前……間抜けというか呆れたというか』
『だからなんだよ、お前の言いたい事は』
『……やれやれ…それじゃ、そこで寝ているのは誰?』
『綾さんだよ、俺の好きな』
『綾だよな』
『…そう言うお前はなんだよ、綾さんを呼び捨てしやがって』
『別にいいじゃないか』
『良くない!見ず知らずのお前が言うんじゃねえ』
『わかった、あやまるよ』
『ならいいけど……で、綾さんが寝ているわけだ、それで?』
『そしてお前は寝ている綾さんに対して何をやっている?』
『何って…汗を拭いてあげてるじゃねえか』
『どこを?』
『どこをって…上半身』
『どうやって拭く?』
『どうやってって…最初は布団はがして、それから上着を脱がして…』
『そこだっ!』
『うわっ!びっくりした』
『あ、悪い、上着を脱がす、ここだ』
『…それが何か?』
『…上着を脱がすと、どうなる?』
『んーまあ、裸だろうな』
『裸だよ、ハ・ダ・カ、綾さんの生まれたての姿』
『………えっ?』
『あーでも、気付かなかったお前が悪いのかな−、それとも気付かせた俺の方かなー、まあいいや、後は自分で何とかしてくれよ』
『えっ、なんとかって…おーい』

裸・裸・裸・裸。
さっきまで頭の中にいた『そいつ』が発した言葉がエコーする。
涼「綾さんの…裸」
それを口にした直後、一気に体温が上昇した。
涼「ちょ、ちょっと待て…裸…だと」
落ち着こうとしているが熱くなった体が一向に下がらない。
おそらく、頭のほうも真っ赤っ赤なのだろう。
さっき、つまり頭の中で対話するまでにはもう脱がそうとしていた。
涼「と、言う事は……」
肩から腕へそして手でゆっくりと目で追う。
そして執着点は綾の胸の部分だった。
見てしまった。
一目見た直後、俺はそう思った。
奇跡的にブラジャーをしていたので良かったが、もしなかったらどうなっていたんだろう。
おそらく理性が木っ端微塵に粉砕され、想像すらできない状況になっているだろう。
深く深呼吸を何度もする。
涼「さて、見てしまったが…どうしよう」
見てしまったものはしょうがないという潔さが出て、だいぶ落ち着いてきた。
が、その直後。
綾「ん……」
まずいっ!綾さんが起きそう!
頼む、起きないでくれ。
もし、ここで起きてしまったら完璧に嫌われる。
神様、いるんだったら綾さんをこのままの状態にしてくれーっ……。
俺はひたすら祈った。
綾「……すーすー…」
はぁー、起きなかったか。
どっと大量の汗が流れ落ちた。

とりあえず体を拭いておくか。
できるだけ起こさないようにやさしく拭いていく。
が、ここで予想外のことがおこった。
ちょうど手の所が綾さんの胸に当たってしまった。
う…柔らかい。
思わず本音が出てしまった。
しかも、胸の所を何度か見たせいか、完全に下の方が膨張している。
しかも、いつのまにやら息が荒くなっている。
ヤバイ、このままじゃどうなるか…。
仕方ない、最終手段!
涼「ふんっ!」
拳を下のほうに打ちつけた。
その直後、思わず悲鳴を出しかねん激痛が襲った。
しかし、耐えた。
悲鳴をあげたら綾さんを起こしてしまう。
プライドのようなものが痛みに耐えた。
そのおかげで下の方もおさまり、そのまま一気にパジャマのボタンを着け、掛け布団をかぶせる。
はー、なんとか終わった。
ほっと一息ついた。
しばらくした後。
綾「ん…」
綾さんが起きたようだ。
涼「ごめんね、起こしちゃったみたいで」
涼「いえ、そんなことは…」
涼「あ、そうだ、おかゆができたけど…食べる?」
綾「はい、いただきます」
おかゆの入った茶碗とレンゲを渡す。
綾さんがおかゆを食べようとする。
が、ここでアクシデントが起きた。
綾「熱っ……」
どうもおかゆが熱かったようだ。
そういえば煮立った状態で持ってきたからな。
俺は熱いのは平気だけど綾さんは俺とは違う。
涼「ごっ、ごめん綾さん、冷ましてなくて…」
うーん、なにか方法は…。
………あった。
涼「綾さん、ちょっとレンゲ借りるよ」
綾「えっ……」
レンゲでおかゆをすくい、軽く息で吹いて冷ます。
涼「はい、食べていいよ」
俺が綾さんに食べさせる形になった。
綾「あ…ごめんなさい、私なんかのために」
涼「いいのいいの、綾さんが元気になってくれればいいんだから」
綾「それじゃ、いただきます」
綾さんがおかゆを食べる。
綾「おいしい……」
綾さんがにこりと微笑んだ。
涼「よかった……」
俺は安堵の吐息を吐いた。

翌日、綾さんは元気になり、登校してきた。

そしてそれから3日後の放課後。
涼「綾さん、一緒に帰ろ」
綾「はい」
俺は綾さんと一緒に帰る。
綾「あの、涼さん」
綾さんが俺に話しかけてきた。
涼「何?綾さん」
綾「前から気になっていたんですが、前に、私が風邪をひいたときにお見舞いにきてくれましたよね」
涼「うん、そうだけど」
綾「その時にですね、あの…」
どうしたんだろ綾さん、何か言いづらそうだけど。
綾「…私の体、拭きました?」
涼「えっ?」
綾「涼さんが作るおかゆができるのを待っていたんですけど、少しだけ寝ちゃって、寝ぼけた感じでしたのではっきりとはわからなかったんですけど、涼さんが私の体を拭いていたのが見えたんですけど…」
ま……まさか起きていたなんて……ま、まずい、平静を保たないと…。
だが、頭の中と体が別々で、完全にあせりが顔に出ていた。
そしてそれが綾さんに読まれた。
綾「や、やっぱり………」
するとその直後、綾さんの顔がみるみるうちに真っ赤になり、逃げてしまった。
涼「あっ、綾さん、待って!」
だが、遅かった。
そして1人で家に帰り、1日中悩んだ。
やばい!あれが綾さんにバレるなんて…くそー、これからどんな態度をとっていけばいいんだぁ!

翌日、9時半頃。
俺はベッドで寝ていた。
脇に挟んでおいてあった体温計を抜いて、計る。
そしてその数値を見て、俺は絶句した。
39度8分。
その後、医者からは知恵熱だと言われたが、いつもいろんなことを考えている俺が知恵熱とは信じられない。
もしかすると綾さんの呪いが……。
信じたくないが、今の状況を考えると、ありえる。
この風邪は治るのか、そしてこの後の綾さんの態度がどう変わるのか、俺はこのことが気掛かりだった。

後書き

『綾〜また胸大きくなった?』
いきなりですが、これが前回の答えです。
ちなみにこれはP5のドラマCDの一部のセリフです。
さて、このセリフですが、ポイントは『また』と『大きく』です、
公式設定では綾のスリーサイズは79・56・85ですが、このセリフによってこのサイズになったというのはつじつまが合わない、つまり矛盾。
その理由に関してですが、ゲーム時とドラマ時との時間の差です。
ゲーム時の服装を良く見てください、季節は夏となります。
しかし、ゲームスタート時では制服が冬服になっているため、おそらく、衣替え間近の季節のため、正確には初夏の5月の終り頃になります。
そして、ドラマ時の季節ですが、これは非常にわかりやすく、ドラマのネタがバレンタインですので、2月14日より少し前の時期になります。
5月の終り頃から2月14日より少し前の時期を引くと、だいたい9か月くらいの間があります。
まあ、このぐらい時間があれば体格のひとつやふたつは変わるでしょう。
さらに、どのぐらい大きくなったかというと、このセリフのときは、自動車が来てよけた拍子に触ったという状況で、季節は冬ですので冬服が基本でしょう。
冬服はブレザーを着用しており、なおかつ綾はきちんとしているため(3人の制服のシーン、つまりタイトルの絵を見れば一目瞭然)わりと厚着のはず、それなのに少し触っただけで大きくなったのがわかったということは1センチではたいして変わらないため、3センチぐらいは大きくなったと言えます。
そして『また』の部分は、『また』というのは何らかの行動を繰り返したときに使うため、3センチの3センチ、つまり6センチぐらい大きくなったのだろうという推測が出ました。
ウエスト、ヒップもそれに応じて多少の変化をつけました。
まあそんなことより小説タイプのこのセリフの後に『一緒に風呂に入った』というのが非常に気になりますけど。(笑)